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かぶれにくい漆のご紹介と販売(スマホ版)

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一般的な漆の話

 漆器は英語でJAPANと呼ばれることは良く知られていますね。
漆塗りの器などは、私たち日本人にとって馴染み深く、昔から使われてきた塗料です。私共の 伊勢型紙の業界でも、補強・接着用として使われてきました。

 漆はウルシ科ウルシ属の木の樹皮を傷つけると流出する暗褐色の乳状の液体です。酵素ラッカーゼの働きにより乾燥(硬化)するなど、不思議な性質を持つ天然素材です。硬化後はかなり丈夫な被膜を形成し、溶剤にも耐えます(紫外線には弱い。)。木から採取された荒味漆は樹皮や混入物を取り除かれ(生漆)、その後、用途に応じナヤシ・クロメ・濾過の精製工程を経ますが、その状態では、「透」(すき又はすけ)と呼ばれる、塗ると下地の木目が見える茶褐色の漆(透無油精製漆)です。精製前に鉄粉または水酸化鉄を加えて、漆の成分のウルシオールと反応させて発色させ、その後鉄粉等を除き、なやし(分散)・くろめ(脱水)の工程を経て作るのが、黒漆(黒無油精製漆)です。
※無油とありますが、天然の乾性油・ロジンを加えたもの(透有油精製漆・黒有油精製漆)もあり、艶があります。赤や緑のものもありますが、これらは単純に顔料を加えて色を出しています。

 しかし、漆は塗料としては高価なもので、また「漆かぶれ」をおこすことも良く知られています。そのため、ちょっと近づきがたいイメージを持たれる場合もあると思います。

「かぶれにくい漆」とは

 ここでご紹介する「かぶれにくい漆」は、漆を触るのが初めての私が全くかぶれずに塗布作業できたもので、縁遠いと思っていた漆を比較的手軽に使うことができるのでは、との思いからご紹介させていただきます。
【注意】 漆かぶれには体質など個人差があり、また、同じ人でも体調や漆が付着する場所によっても症状が違うようです。全ての人がこの漆でかぶれない訳ではありませんので、予めご了承ください。実験では通常の漆よりも平均的にかぶれにくいという結果がでていますが、個人差があり、通常の漆と同様にかぶれる方もおられます。私自身は体質的にかぶれに対し強いのかもしれません。 

「かぶれにくい漆」は、皮膚科の医師との共同研究で「かぶれ」のメカニズムを解明することにより、作られました。

※このかぶれにくい漆は天然漆で、「新うるし」と呼ばれる合成漆や「カシュー漆」とは異なるものです。

【注意】この漆は伊勢型紙など染色用の型紙の補強用に使われる種類の漆ではありません。型紙には型紙用の生漆を用いるのが一般的です。

私自身は下地の木目が透けて見える漆塗りが好きなので、ここでは「透きの素黒目」(すぐろめ:クロメ工程を経た精製漆。油分は入っていません。)という色の「かぶれにくい漆」を使って、拭き漆(摺り漆)したものをご覧いただきます。

塗布テスト : ケヤキ

 … ケヤキの板に、「拭き漆」という塗り方で、「かぶれにくい漆」を塗りました。

「かぶれにくい漆」を拭き漆の技法で塗布した画像。無塗装~5回塗りまで

画像では色の違いがわかりにくいかもしれませんが、6等分してあります。

左から、無塗装・1回塗り・2回塗り・3回塗り・4回塗り・5回塗りです。

回数が多いほど色が濃くなっています。

「かぶれにくい漆」を塗布した欅の板を角度を変えて、光沢の様子を見た画像

 上と同じものを、光の反射がわかりやすように撮影しました。

3回目から艶が出てきました。4回目と5回目はあまり変わりません。

「かぶれにくい漆」塗布の板を別角度から見た画像

角度を変えました。

ケヤキは木目がきれいな木材ですが、漆はその美しさを生かせる塗料だと思います。

拭き漆(摺り漆)について

 … 拭き漆(摺り漆)※という塗り方で、私のような素人にも手軽にできる方法です。

※拭き漆の方法を調べると、最初は刷毛やへらを使って漆を塗り、その後布で拭き取る方法が正しいようですが、今回は最初から布で塗りつけて、そのまま拭き取っていきました。あくまでも下記の方法は自己流ということで、ご了承ください。

あらかじめ、細かめのサンドペーパー(#800程度)で板の表面を磨きました。
本職さんならもっと綺麗に下地を整えるのでしょうが、素人ですので傷が残っているのはお許し下さい。
(漆を塗ると、木目など凹んだ部分に入り込むので、その部分の色が濃くなりました。)

チューブから出した漆を布(毛羽の出にくいもの)に付け、そのまま擦り込むように塗りました。
1回塗っては乾燥させ、を繰り返して、2回目以降を塗り重ねます。(塗布表面を軽く触ってみて、サラッとしていれば乾いています。乾いていないと少し粘つく感じがあります。)

【注意】冒頭の説明のように、この「かぶれにくい漆」は比較的低温・低湿度で乾燥・硬化しますので、冬季でなければ「漆室」は必要ありませんが、高温・高湿度下の方がより短時間で乾燥・硬化します。また、乾燥時にほこりが付くのを防ぐために、段ボール箱の中に入れるなどした方が良いです。

作業の際に少し指先に付着してしまいましたが、かぶれることもなく大丈夫でした。(布で拭き取った後は、そのままにしていました。)

 不用心にも素手で作業しましたが、本来はかぶれ防止のため、念のためにゴム手袋やマスクなどをすべきでしょう。また、皮膚についた場合は、家庭のサラダ油でいいので、すぐに拭き取ってください。テレピン油(松ヤニから精製する油)を使用するときれいに拭き取れます。また、指先などに比べ皮膚の薄い部分はかぶれやすいので、腕や顔にもうっかり付着させないよう注意が必要です。漆は表面的には乾いていても、乾いてからある程度の期間はかぶれる可能性があります。乾いた漆を耐水ペーパーなどで水研ぎや空研ぎする場合は、漆の粉末でかぶれないように対策をしてください。漆は表面上乾燥・硬化していても、完全に乾燥してかぶれなくなるまでは、一カ月から数カ月の時間がかかります。

 この「かぶれにくい漆」は結構粘度があります。
サイズが24cm×12cm程の板でしたので、原液のまま布で塗れましたが、面積が広い場合は、テレピン油や樟脳油などの漆用の溶剤で薄めて使用するほうが塗りやすいかもしれません。特に1回目に塗る際は、薄める方が良いでしょう。(私は余分な溶剤は使いたくないので、そのまま塗りました。塗りにくくムラも出来やすいのでお勧めはしません。)

「かぶれにくい漆」を塗布したけやきの板をスキャナーで読み込んだ画像

同じものをスキャナーで取り込んだ画像です。
下の画像(柿渋を塗ったものを同様にスキャナーで取り込み)と色を比較してください。

塗布テスト : 柿渋下地

 … ケヤキの板に「柿渋」と「かぶれにくい漆」を塗ってみました。昔から、柿渋は「渋下地」として漆器の下塗りの一方法として用いられてきたようです。

ケヤキに柿渋だけを塗布し、スキャナーで読み込んだ画像

同じケヤキの板の反対面に柿渋を塗りました。

左3分の1は無塗装です。右部分は、柿渋の低粘度品(…当社販売品)2回塗りです。

 柿渋は、時間(日数)をかけて少しずつ発色していきます。
10日程度しか経過していませんので、まだ色は薄い状態です。

この上に、漆を塗ってみます。方法は、例によって布で塗り広げるだけの自己流拭き漆(手抜きとも言いますが...)です。

結果は↓

柿渋下地にかぶれにくい漆を塗布したもの。

 今回のテスト結果です。

上から順に
1.柿渋2回塗り+漆塗り2回(2回目の漆は厚めに塗りました。)
2.柿渋2回塗り+漆塗り1回
3.柿渋2回塗り
4.無塗装の状態(サンドペーパーをかけました。)
5.漆塗り1回

1番は、拭き漆というよりも、布で厚く塗りつけたような感じです。

2番と5番を比較してみると、2番は柿渋を下地として塗ったことで赤みがあります。また、木目の色は5番の方がしっかり出ているように感じます。

柿渋下地にかぶれにくい漆塗布し光沢を確認した画像

 角度を変えて光沢を見ました。

1番が、飛び抜けて光沢(艶)があります。早く仕上げようと思い、2回目の漆を濃く塗ったためです。

次に2番です。下地の柿渋のせいか、1回の拭き漆だけで均一な光沢が出ました。

5番は無塗装の上に1回の拭き漆ですが、厚めに塗れた部分に艶が出ています。木の端の部分はもともと接着剤のようなものが付着していたため、木目がうまく出ていません。

3番(柿渋2回塗り)も少しですが艶があります。

柿渋下地にかぶれにくい漆を塗布した板を角度を変えて撮った写真

(結果について)
昔から漆は高価なものでしたので、主にその使用量を減らすため、柿渋が下塗り用として使われてきたようです。
下地に柿渋を塗ったものと、漆だけを使用した場合とでは、仕上がりの色が違いました。
今回は透ける色合いの漆を使用したため、柿渋の赤みがある発色が影響しています。
柿渋を下地に使う事で漆の使用量は抑えられますが、もしこの赤みが気に入らない場合は、漆だけで塗ればよいでしょう。

関連ページ

 …関連ページ(PC版)もご覧ください。
少しずつ試しています。

お椀に摺り漆で、透き漆と黒漆を塗ったもの

「かぶれにくい漆」の販売

※ご注文の前に「注文方法」をお読みください。
お支払方法や、送料(実費をご負担いただきます。)等「特定商取引に関する法律による表示義務事項」などの記載です。

「かぶれにくい漆」100g入りチューブ
100g入りチューブ(全長16cm)

「かぶれにく漆」透漆(茶色)と黒漆の色を比較した画像
色は2種類。 1:透、 2:黒

「かぶれにく漆」透漆の色見本
透(すき)漆
透(すき)100グラム入りチューブ
¥5,076(税込・送料別)

透(すき)200グラム入りチューブ
¥10,152(税込・送料別)

透(すき)400グラム入りチューブ
¥20,304(税込・送料別)

透(すき)桶入り(1kgあたり)
¥48,600(税込・送料別)
kg
「かぶれにく漆」黒漆の色見本
黒(くろ)漆
黒 100グラム入りチューブ
¥5,076(税込・送料別)

黒 200グラム入りチューブ
¥10,152(税込・送料別)

黒 400グラム入りチューブ
¥20,304(税込・送料別)

黒 桶入り(1kgあたり)
¥48,600(税込・送料別)
kg
テレピン油少量を皿に入れた写真。無色に見える。
テレピン油
(ガムテレピン/α-ピネン85%以上/無色)

テレピン油 100ccガラスビン入り
¥605(税込・送料別)

テレピン油 500ccガラスビン入り
¥1,512(税込・送料別)

小冊子「うるしと塗り読本」
小冊子「うるしと塗り読本」
B6判29頁・日本精漆工業協同組合
「うるしと塗り読本」
¥324(税込・送料別)
  
漆拭き取り紙
漆拭き取り紙
※再利用紙
(布と異なり)糸屑が出ず作業し易いです。
10枚単位
漆拭き取り紙
¥157 / 10枚(税込・送料別)

その他

※このかぶれにくい漆は天然漆で、「新うるし」と呼ばれる合成漆とは異なるものです。カシュー漆でもありません。

※天然の原料漆を特別な方法で精製した後に、タンパク質加水分解物を添加してかぶれにくくしたものです。油分は入っていません。この新精製法のおかげで、従来の漆より低温・低湿度で乾燥硬化(20°C・湿度60%で5時間程度)するほか、塗膜の耐候性が従来の漆に比べ強化されているという優れた特徴を有しています。ただし、湿度は50%を下回ると極端に乾燥時間が長くなりますので、ご留意ください。

※透漆以外に黒漆(黒・すぐろめ)もあります。価格は上表の通りです。→黒漆の塗布参考画像(お椀に塗布)

※生漆タイプもありますが、特別な精製をせずにタンパク質加水分解物を添加したもので、低温・低湿度での乾燥硬化と耐候性の向上という特徴は持っていません。ご注文の際は連絡事項欄等にその旨ご記入ください。

※当社の京都店より発送させていただきます。(組み合わせ商品があるなどの場合は、本社:三重県から発送する場合もございます。)

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柿渋のご紹介と販売

柿渋について(補足)

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柿渋染め製品を販売しています。 柿渋染め帆布(生地)の販売も始めました。

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