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柿渋 / 種類・柿渋の作り方・塗り方・染め方など補足

※柿渋のご紹介と販売柿渋(かきしぶ)のご紹介と販売 も併せてご一読下さい。

当社の柿渋の種類

※記載内容の不正確な箇所を訂正させていただきました。(2020.2.26)

 無臭柿渋と、従来の(臭いのある)柿渋を粘度別に3種類で、合計4種類ございます。いずれも日本国内産の柿が原料です。

 無臭柿渋は、大まかに言うと濾過等の精製によって臭いの元になる物質(酢酸・酪酸などの揮発性有機酸)を除いたものです。水や化学物質など添加物はありません(タンニン成分の比率が高い 原液です)。また均一化していてムラになりにくいなどの特徴があります。
それに対し、従来からの(本来の?)柿渋には柿タンニンのほか、酢酸・プロピオン酸・酪酸などの揮発性有機酸が含まれています(更には糖質・無機物も残留していると推定できます)。※有機酸自体は、果実にも含まれる物質で、酸化防止・抗菌作用があるともされていますので、一概に「不純物」とは言えないかもしれません。
無臭柿渋と、従来の(臭いのある)柿渋を、例として木材に塗って比較すると、乾燥時の光沢の差や、後々の発色の違いがあります。リンクしているページのテスト画像でお判りいただけますが、従来の柿渋を塗った方には光沢が見られます。
柿渋の臭いの原因は含まれている揮発性有機酸がもたらすものとされ、酪酸が銀杏(ぎんなん)のニオイの原因であることから想像いただけるように、おおかたの人にとっては悪臭と感じられると思います。個人差があり、自然のものなので気にならないという方もおられれば、「耐えられない」と仰る方もおられますが、室内にご使用予定の場合など、ご購入の際にご心配な場合は無臭柿渋が無難だと思います。
使用直後の臭いは非常にきついですが、時間とともに薄れていきます。風通しのよい屋外に置くのが理想的ですが、ご近所にもご留意ください。(無臭柿渋の粘度は、通常の柿渋の低粘度のものよりさらに低く、凝固もしにくいです。)

 従来の臭いのある柿渋3種類は、それぞれ粘度が異なりますが、いずれも柿渋の原液そのままです。(水などで薄めて粘度を調整したものではありません。従ってタンニンの濃度が濃かったり薄かったりするものではありません。)

※「濃度」ではなく、「粘度」(粘り気)ですので、ご注意ください。

(注)時折、柿渋の度数(※)を尋ねられますが、当社の通常品柿渋は5度から6度程度 4度程度、無臭は3.5度程度でその時々により異ることがあります。
※柿渋の濃さを言う場合によく使われる「度数」とは、「ボーメ度」のことで、これはボーメ計(比重計)という液体に浮かせる器具で測った濃度のことです。ボーメ度が高いほどタンニン成分が多いとされています。(簡易的な尺度です。) 昔は簡易的な尺度としてボーメ度(比重)をタンニン成分の多少の尺度とされていましたが、実際の因果関係について私共では検証できておりません。

 ちなみにこれらの種類は、もともと私共が伊勢型紙の地紙(渋紙)製造の際に、粘度の異なる柿渋が必要なために設定しております。例えば、高粘度は接着力が強く、薄い和紙を張り合わせるために使用しています。逆に低粘度は、工程の後の方で、地紙の表面に塗布するだけに使用しています。いずれの柿渋についても、ある程度のタンニン分が必要です。 高粘度は特殊な柿渋といえるかもしれません。竹かごに和紙を張り合わせたり、厚塗りする用途には適しています。 一般的な柿渋は、私共のものでは低粘度にあたると思います。

(注)当社販売の柿渋について、食用・飲用ができるかとのお問い合わせをいただくことがありますが、食品としての管理をしておりませんので、飲用などされる場合は、自己責任でご利用いただきますようお願いいたします。

(注)柿渋のph(水素イオン指数。 酸性・アルカリ性の度合い)についてお問い合わせをいただきました。通常の柿渋はいずれもph3程度(酸性)で、無臭柿渋はph4程度(弱酸性)です。

昔からの用途について

 柿渋の用途のひとつとして、全国的に漁港や海辺近くの地方などで漁網の補強に使用されてきたようです。ナイロン製などの丈夫な網ができるまでは、綿(めん)や麻の糸で作られた網を柿渋で補強して長持ちさせていました。海岸に柿渋を入れる渋壺が置かれていたという話も聞かれますし、漁村で柿渋を作る習慣が残っている地方もあります。 和紙に柿渋を塗ったものを総じて「渋紙」(伊勢型紙の地紙も含め)と呼んだりしますが、敷物・紙衣としてや製茶の際など、様々に用いられました。 民間療法として高血圧の薬として飲まれる場合もある(あった)ようですが、身体に合わない場合もあり、便秘を起こすこともあるようですので、注意が必要です。 京都で「ぼて」と呼ばれる、竹を編んで和紙を張りつけて作られる「つづら」(相撲の明荷・呉服入れなどに使われる)には、カシュー塗料の下地としても使われているようです。防虫効果があるようです。

柿渋の作り方・製造方法

 昔は多かったようですが、現在は家庭で柿渋を作る習慣があるところは少ないと思います。
 大量に柿渋を製造する工場の場合は、渋柿を機械で破砕して細かくした上で、圧搾などにより強制的に搾る方法(通常水は加えません)が一般的です。渋柿の収穫時期が限られており、また収穫後に長時間保存すると渋柿が変質してしまう(※)ため、短時間で大量に破砕・圧搾を済まさなければなりません。絞った渋柿の汁(フルーティーな匂いです。)はタンク等に保存します。
 私自身が60歳以上の方からお聞きしたことですが、昔の家庭での作り方は、砕いた渋柿をひたひたの水に浸して時間を置き、柿渋が染みだした水ごとざるにあけて濾し、柿渋を抽出する方法をとったようです。このような柿渋には水が混ざって薄くなってしまいますが、保存の際に凝固しにくいという効果が期待できます。今は家庭でもジューサー等を利用すれば、果物のジュースを作るのと同じ手順で可能だと思います。
(※天王柿などの特別なものを除き、渋柿は採取したその日の内に搾らないと、柿渋が変質するため注意が必要です。)

 →主ページの、「柿渋の製造方法」 も併せてご覧ください。

木材への塗り方について

 柿渋は衣服に付くととれません。すぐに水洗いしても後で少し発色してしまったりしますので、汚れても良い衣類で作業するなどして、ご注意ください。
塗った直後の発色はかなり薄いのですが、乾燥して光に当たり時間の経過とともに、濃くなっていきます。
発色の様子を見て、2回目を塗るなどしてください。
柿渋は、原液でしたら一回塗りでも十分発色します。
(ただし、塗布直後の色はごく薄く、濃い発色までに一ヶ月程度はかかると思います。)
原液を2回以上塗ると、後になって想定していたよりも色が濃く仕上がる場合がありますので、原液を水で薄めた物を、発色を確認しながら複数回塗る方が、色ムラも少なく仕上がりますし、耐久性も向上すると思います。(時間がかかりますが。)色ムラを防ぐためには満遍なく塗って下さい。柿渋が多く付いたところを、布を使って拭き取りながら塗るなどしてください。
最後に、柿渋についてご留意いただきたい点があります。それは自然塗料のほぼ全般に言えることかもしれませんが、耐久性においては化学塗料に比較して劣るということです。フローリングなど摩擦のある場所では、メンテナンスが頻繁に必要になる可能性があると思います。オイルフィニッシュなども、耐水性向上には有効かもしれません。(今後試してみる予定です。※)
※簡単なテストをしました。柿渋との併用で防水効果が増す場合もあります。
 →柿渋と乾性油・蜜蝋ワックスを併用する簡単な実験
また、風雨に曝される屋外への使用の場合、環境によっては数ヶ月で流れ落ち、塗り替えが必要になる場合もあります。塗布後の天候が良く、日光が良くあたり短時間で乾ききることができた場合は、比較的耐久性が上がるようです。(皮膜が短時間で形成されて、水に強くなるようです。)…この点につきましては、御存知の方の情報をお待ちします。 できれば、事前にテストして、特徴を理解していただいてご使用いただければ幸いです。

 →主ページの、木材塗料として柿渋を使用する場合 も併せてご覧ください。

布等の染め方について

 柿渋の染色でよく問題になるのは染めムラです。できるだけ均一に柿渋を繊維に染み込ませ、また乾燥時も皺にならないように広げて乾かすことが重要です。柿渋に浸す前に、予め水分を含ませておくのも有効だと思います。
最初は、柿渋を水で希釈したもので薄い色合いに染め、何回か染めることで、染めムラも和らげることができます。
発色に時間がかかりますので、気長に待ってください。染色後に洗濯することで、臭いが取れます。

 →主ページの、柿渋染め(布など)の場合 も併せてご覧ください。

柿渋の文献について

以下のような文献があります。私自身も参考にさせていただきました。
 (上から3点は現在でも入手可能だと思います。一番下は図書館で閲覧可能。)
「柿の民俗誌-柿と柿渋」近畿民俗叢書-8  今井敬潤著
「柿渋」法政大学出版局 ものと人間の文化史-115 今井敬潤著
「柿渋クラフト(柿渋染めの技法)」木魂社 寺田昌道著
「柿渋の力-くらしと伝統工芸を支えた南山城の柿渋」京都府立山城郷土資料館
(以上敬称略)

※他サイト(ショッピングサイト)では柿渋に関係する書籍も多数販売されています。(私も現在手に入らないものは古本で買ったりします。)

柿渋についての私的な考察

 「渋」というものは、植物が動物などから身を守るために持っている物質だということをどこかで読んだことがあります。 柿渋も柿の種子が未成熟なうちに動物に食べられてしまわないための自己防衛のためのものなのでしょう。 昔の人はよくもまあ、こんな不思議なものを見つけて利用方法を考え出せたものだと思います。
現代には、塗料・染料・防腐剤など、効果の面では柿渋を遙かに凌ぐものがいくらでもあって使われています。実際に柿渋でなければいけないという用途はあまり無くなっていて、次第に柿渋は忘れられる存在なのかもしれません。 柿渋染めなど、その色合いだけを(ファッション的な意味で)使われ、流行している風潮もありますが、本来植物の自己防衛のための物質を、人が自分たちの生活に取り入れていた事実が注目すべき興味深いことで、忘れてはならないことなのかもしれません。
 私自身の話で恐縮ですが、小学生の夏休み、「渋つき」と言って、山中の工場で大量の柿渋作りを手伝った思い出は、近くを流れていた清流の風景とともに記憶に残っています。

柿渋販売の送料について

※柿渋の販売は別ページにて行っています。→ 「柿渋のご紹介と販売」

下表の送料は柿渋をお送りする場合に限りますのでご了承ください。
:1.8L(または2L)入りが1~2個の場合、および500ml入りが1~10個の場合の送料
:1.8L(または2L)入りが3~9個の場合、500ml入りが11個以上の場合、および18L(または20L)入り1個当りの送料
※1.8L(または2L)入りが10個以上の場合や、他の組合せの場合、別途ご連絡いたします。
(ショッピングカートで送料は自動計算されます。)

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【保存について】

柿渋はゲル化しやすく、一度固まってしまうと元に戻らず、使用できなくなります。別頁の「保存」の項目をご覧いただき、注意して保存してください。
特に高粘度の柿渋は特別に固まりやすいため、夏場など気温が高い時期や、季節の変わり目・気温の変化が激しい時期には、要注意です。商品到着後は、できるだけ早くご使用いただくようお願いいたします。

【容器について】

柿渋の容器:1.8リットル入りと18リットル入り

←写真の左側が18L用で、段ボール箱の中に柔らかいポリ容器が入っているタイプです。このままお送りします。
右側は1.8Lの持手付きポリボトルです。容器を段ボール箱等に入れてお送りします。

無臭柿渋の容器:2リットル入りと20リットル入り

←写真左側が20L用で、段ボール箱の中に柔らかいポリ容器が入っているタイプです。このままお送りします。
右側は2Lのペットボトル(持手無し)。容器を段ボール箱等に入れてお送りします。

柿渋お試しセット容器(4本)

←お試しセットは500mlのポリボトル(持手なし)です。

【お問い合わせと電話注文について】

電話注文も承ります。必要な場合、詳細をお問い合わせいただいても結構です。

卸販売(再販していただく場合)についても、ご相談を承ります。

株式会社大杉型紙工業   電話 059-386-0271  Fax 059-387-1513

【その他】 注意:他サイトの販売商品ですので、予めご了解ください。

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